小説

まるで憎悪を込めて脈動する影。

空は嘲笑の如く割れ、大地は泣き喚いていた。

皮膚が凍り血が燃えて、折り重なる屍が海。

捨てられた街は牙を向き、ここは果で底である。

そう出会うことのない鮮やかな赤い髪だ。


瞳には不思議な色が滲み、強く輝いている。

襲い掛からんとする災害を前に怯えもせず、

彼女は不敵と微笑み僕に尋ねた。

「君、好きな人はいるかな?」


人間よ、妄想せよ。

ハッピーエンドは起こるのだと理解しろ。

夢幻纏いし救済の絶対乙女(アンリミテッドフロイライン)、

彼女は、願われてその身に女神を降ろす。