テストプレイ「トキシックロダンの短い夜」2

『女というのは、嘘が上手であるべきよ』

 用意と言ったってやるのは移動方法の確認くらいで、後の時間はむやみやたらと自分を大事にするくらいだ。美味しいご飯を食べるし、綺麗な服を着ていく。未来から遥々後悔してきた誰かを前にして余裕を見せられないなんて魔法使いの矜持が廃ると言うもの。これから死にに行くのを恐れていては、その震えが祈りを折ってしまっては、駄目だ。女というのは、嘘が上手であるべきよ。

 さあ出発の時間が迫っている。シンプルな枠組みの姿見を前にしっかりと立つと、アタシは瞬きをした。暗示だ。鬼や獣や幽が、騒ぎ渦巻きながら祭りのようにこの世にやってくる時間帯が澱んだ紫の不可思議な髪。七つの山と七つの谷を越えて言い伝えられた繊細な造りのコートとハットも、まるで魔族を統べるような威厳。それでも彼女の表情に一点の曇りは無く、なにが楽しいのか常に口角が上がっていた。聡明な預言者が必ず庭に咲かせる鮮やかなマリーゴールドの爛漫なオレンジが、その全てを観察し終えると少女は微笑みを残して鏡の前を去る。


プレイヤー1:ハバマス

魔法少女:虚火橙(おぼろび-だいだい)

髪:妖怪がやってくる大禍の空

瞳:預言者のマリーゴールド

願望:嫉妬

コスチューム:ファンタジー

キャラクター:ファニー

魔法(レベル順)

【キャンドル・オブ・ウィッシュ】

【セブンカウント】

【アルルの踊り】

【fall in love】

【レプリカント】

【ルサルカ】

【トーヴァシェスポワリ】



『こんな都合の良い恰好の女がいるか』

 知り合いに二ヶ月くらい借りっぱなしの本だから、さっさと読んでしまおうかと思っていたのに。今や邪魔になった厚さ2cmを机の端に追い込むと三枚の液晶をじっくりと眺める。一つは実際に色々と操作する為で、左右は辿り着いた情報を監視する為の用途で、それに違わず今は監視カメラの映像を盗み見ていた。大体寝静まった町に怪しい影は見当たらない。

 ふと映像に少女が映る。濡れたように艶のあると言えば聞こえはいいが、まるで血が流れたような赤い髪。非常に健康的で柔らかな肌を強調するように露出の激しい衣装は、和服を崩したようなデザインだ。どう考えたって今の時間帯を出歩く少女の恰好じゃないのに、甘ったるい黄色の目は底抜けに明るい色をしていた。こんな都合の良い恰好の女がいるか。

 いつもそうだ、変な依頼を受けてみれば可愛い女の子に出会う。一体君は誰なんだ?


プレイヤー2:木馬

魔法少女:花簪鈴(かしん-すず)

髪:ギロチンから滴る女王の鮮血

瞳:パイから溢れたカスタード

願望:欲情

コスチューム:ナデシコ

キャラクター:ポップ

魔法(レベル順)

【キャンドル・オブ・ウィッシュ】

【花咲く華憐火】

【フットワークウィンド】

【フランベルジュの情熱】

【グングニール】

【エインセルの悪戯】

【トーヴァシェスポワリ】



『どうやって動きたいんだろう?』

GM:とりあえず1ターン目スタートです。

木馬:はーい

ハバマス:はい!

GM:どちらから動いても構いませんし、一人5ターンじゃなくても大丈夫です。そういうのを踏まえた上でどっちがどうやって動きたいんだろう?

木馬:とりあえず僕は情報判定かな。

ハバマス:そうですね、どんどん情報を抜いていかないと危ない気がして。戦闘フェイズに入っちゃったら準備できなくなる感じですか?

GM:それは情報に書いてます。シナリオによるんじゃないかと思いますが今回は調べればわかるよってことで。

ハバマス:はーいわかりましたー!一発出たくらいじゃ即戦闘にはならないかな。

木馬:なる、ほど?

ハバマス:ちょっとこれ、早急に行っちゃうと準備が足りない……まだうちも木馬さんも攻撃が出来ないんですよね?

木馬:そうねぇそうなると。

GM:今の状態だと全ての魔法は開放されていないのでレベル1から順番に開放していく形になりますね。

ハバマス:開放判定ですよね?

GM:そうです。

木馬:とりあえず魔法か?開放判定を何回かした後に?

ハバマス:いやそれでも間に合わなかったら怖い、ああああ。

木馬:情報は任せろー。

ハバマス:おおー、ジンクス、ジンクス、ジンクスは3ある、行ける。行けるかな?

木馬:しまったー、そういうことか!

ハバマス:ジンクスは私が調べたほうがいいかもしれない。

木馬:いやー?あの僕一応【電脳記録の泥棒猫(クラッキングキャット)】があるので、なんでも+2d6されるので。

ハバマス:あ、あっ!

木馬:あとですね、【エインセルの悪戯】まで開放できればいくらでも、いくらでも!

ハバマス:ひゃーーー!じゃあそっちにお任せしたほうが良い気がするー!

GM:それではどうしましょうか?

木馬:ふぅん、ま開放判定からでいいんじゃないかな?

ハバマス:どうしよ、二人とも開放でいいのかな?

木馬:うん開放で良いと思うよ?

GM:ハバマスさんのレベル1はチャームですね。開放判定は魔法に指定されているステータスの値を使って行います。《ステータスの値》d6ですね。

ハバマス:はい!

GM:目標値がそれぞれ決められていたと思うんですが、レベル1なので5点ですね。なーのーで、プリケット・ミラームーンのチャームが3なので《3d6で5以上》出せば開放出来ます。

ハバマス:はい、じゃあ振ってみます。


開放判定 レベル1

虚火 橙:3D6>=5

DiceBot : (3D6>=5) → 9[3,3,3] → 9 → 成功


GM:それではレベル1【キャンドル・オブ・ウィッシュ】を使えるようになります。

ハバマス:やったー!

木馬:じゃあうちもか。これはなにで振ればいいの?

GM:レベル1【キャンドル・オブ・ウィッシュ】のステータスがワンドですね?

木馬:ワンドで目標にしていいのね?

GM:一松三子のワンドは3なので、3d6ですね。

木馬:はーい。


開放判定 レベル1

花簪 鈴(かしん すず):3D6

DiceBot : (3D6) → 14[6,6,2] → 14


木馬:14です。無駄に高ぇくそぅ。

GM:それでは二人ともレベル1は開放したということで。現在センテンス3です。



『いざ情報判定』

木馬:さて。さてさて。結構リスキーだなぁ?

ハバマス:情報お願いしてもいいですかー?!

木馬:情報やっちゃうかぁ。しかぁし、ちょっと待ってねぇ。

はい。

木馬:これ電脳記録の泥棒猫(クラッキングキャット)】のコストは?

GM:無いです。

木馬:無くていいのね、常駐なのね。

ハバマス:ヒュー!

木馬:ジンクスで判定していいのねこれは。ジンクスだとなんと1しかないので3d6か。


情報判定 「窒息死の町」

花簪 鈴(かしん すず):3D6

DiceBot : (3D6) → 12[4,6,2] → 12


木馬:足らんか。目標15で足らないんだね?失敗してもうた!

ハバマス:いえいえいえ!大丈夫でーす!これはステータス上げて挑むべきですな。

木馬:15はきついね。

ハバマス:きついきついきつい。とりあえずそちらジンクス1上げたらどうですか?

木馬:うんジンクス上げないと俺は。4d6だったら出るやろー。

ハバマス:出る出るー流石に出るー。

GM:では4ターン目はどなたが?

ハバマス:このまま続けて一松さんのジンクス上げて良いと思いまーす。

木馬:いいんですかぁ?ていうかこのステータス上昇ってなにを振ればいいんですかぁ?

GM:なにも振らなくていいです。

木馬:強っ!

ハバマス:つよーい!宣言だけって強い!


ステータス上昇

花簪 鈴 ジンクス1→2


木馬:とりあえずジンクスが2になって、今センテンスが5?

GM:そうです。

木馬:これきっつ!きっつ!これきっつ!

ハバマス:きつーい!これきつーい!

木馬:超きっつい!

GM:きついかぁ、きついですね。

木馬:これ難易度高ぇ!(笑い)

GM:そうか、高いかぁ。

木馬:超詰将棋みたいになってる。

ハバマス:いや楽しいこういうの。

GM:とりあえずセンテンスが5で?

木馬:ハバマスさんなんかやる?

ハバマス:いやぁ、とりあえず情報抜かなきゃリミットがわからないのでなんとも言えない。

木馬:あっ、お互いに相談しながらやってかなきゃいけないのかこれも。やってっていいのね?

GM:はい。

木馬:では、このまま4d6で振ってみます。


情報判定 「窒息死の町」

花簪 鈴(かしん すず):4D6

DiceBot : (4D6) → 19[5,5,6,3] → 19


木馬:やった!

ハバマス:おおー!

木馬:いえーい!

ハバマス:いえーい!

GM:それでは次の情報ですね。


「薬品会社」

一番有力とされていた原因は、薬品会社の備品の損傷だった。

深夜0時に起きた地震で薬品の入っていたガラスが割れ、そこから漏れた液体が反応すると毒ガスが発生することがわかっている。

しかし、町全体を一夜にして覆うほどの量ではない。

これを持ち出した形跡もなく、解明の手掛かりにはならなかった。

チャーム/20で次の情報が公開される。


木馬:チャーム20とか馬鹿なこと言ってる!クソッ!

ハバマス:これはきついー!

GM:そりゃ難易度上がってくに決まってるじゃないですか!

ハバマス:そっか、これは魔法使いを成長させて叩くゲームなんだ、なるほどぉ。

GM:そうなりますな。ほら、他のTRPGってセッション終わったあとに経験値を貰って成長させたりっていうのがあるじゃないですか。

ハバマス:ありますねぇ。

GM:でも私基本的にキャンペーンとかやらないんで、あとで強くなるよって言われてもそんなに嬉しくないっていうか。だったらゲーム中に出来たらいいなって。

ハバマス:あー、わかる。

木馬:それ超わかるー!

ハバマス:これは魔法少女の育成ゲームだー!


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