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魔法使い考

【赤い髪】 魔法使いと出会って誰もが目を奪われるのが、その赤い髪である。濃淡や色味に幅はあれど、なにか美しいものを想起させる華やかな色を全ての魔法使いが持っている。 何故赤であるのかについてはあらゆる見解があり未だ議論の終結は見えない。ただ欧米では魔法使いの髪の色であると言われており、おそらくはその周辺の地域から認識が広まったために赤い髪に特別な意味が付加されたのではないかと言う説が比較的有力だ。その他に目立つための進化である説と血の色を表している説もある。 進化の説とは、魔法使いが奇跡を起こせることを認識させるために敢えて奇抜な外見に変容し、人間とは違う生き物であると主張したのではと言う推測である。最初の説と違うのは、あくまでも魔法使いが自発的に赤い髪を選んだことだ。また、このようにある結果へ繋がるためのモチーフやオブジェクトを「魔法の杖」と総称する。 そして血の色の説は、古くに記録された魔法使いの証言を元にした憶測である。曰く、魔法使いは人間から突然変異的に生まれるが、その魔法使いの血を領地に撒くと、暫くの間その家で生まれる子供たちは魔法使いになると言われているそうだ。魔法使いが力を持てば持つほどその期間は長くなるが、百年を越えたという事例は数えるほどしかない。そのため、魔法使いの一族はほとんど定期的に生贄を捧げていることになる。 勿論赤い髪である理由はこれ以外にもあるかもしれないし、全てが事実かもしれないし、間違いかもしれない。それに、今の魔法使いたちは赤い髪を常識として受け入れている。興味のないことを覚えているのはとても難しく、今後もその真実が明かされる可能性は低いだろう。【基礎能力】 魔法使いの基礎能力とは、魔法を使うにあたって必要不可欠なエネルギー・魔力に関する能力のことで、具体的には一度に使える魔力の強さと、魔力をどれだけ精密に扱えるかの器用さの2つである。 魔力の強さは、例えるならば火力であり、灯火のようにささやかであれば効果が弱く、火の海のように豪勢であれば効果が強くなる。魔力の器用さは、機転が利くかを表すもので、器用であれば一つの数式を色々なことに応用出来るし、不器用ならば同じことしか出来ない。実際にはあらゆる方面から見て総合的に判断されるものだが、妄想魔法においてはドゥームに応戦するときの攻撃力と、プレイヤーの理想を容姿に反映させる精神力にあたるだろうか。 尤もこれは昔からの基準のため、この基礎能力を計りやすい魔法使いは減少しつつある。美少女への変身を望まず、武器などを変じさせる者や、別のオブジェクトに反映させる者、変身しても一部分を変えない者が現れ始め、模範解答でないだけで減点する時代では無くなった。価値観もニーズも多様化した今、一点特化の魔法も重要視されるようになったのだ。【性別と性転換】 妄想魔法を使う上で重要なのは、人間の信用を得ることである。この人なら理想の少女になれるだろう、と思わせるために、魔法使いの中には容姿を磨くことに余念がない者もいる。勿論全ての奇跡に妄想魔法の技術が必要なわけではないが、力を求めたときには考えざるを得ない。 こうした事実から魔法使いの見た目は女性であることが多く、男性であっても性転換をする事例がほとんどだ。それ故に人間が出会う魔法使いも女性である場合が多いだろう。 赤い髪と同様、理想の少女で無ければならない理由は解明されていない。古くから信仰の対象として女性が好まれていることと、人に警戒されない姿として幼い姿が選ばれてるのではないかという説が囁かれている。 しかし女性への転換がよくあることだとしても、生まれから改編するような魔法を使いこなせるのは永くを生きる魔法使いでなければ難しい。そして性別を変えたとしても魔法使い本人の気質が男性的である場合、声は男性のものから変わらないことが多い。【援助欲求】 よく言えば気が利いていて、悪く言えばお人好し。性格やこだわりで多少の差はあれど基本的に魔法使いは優しい。これは魔法を使うために願いを叶えるという手段を選んだ魔法使いの渡世術である。自分のために使うのは容易いが、それも過ぎると我儘な化け物になってしまう。化け物の末路は討ち死にであり、憎まれれば憎まれるほど死が近づくと言うことを、魔法使いは知っているのだ。 魔法使いの無意識な奇跡の一つに、読心術がある。文字通り心を読む魔法で、対象がなにを望んでいるかが手に取るようにわかるため、奇跡が起こしやすくなるというものだ。漠然とした強い気持ちだけわかる場合もあれば、誰かが考えていることが常に頭に入ってくるという場合もあり、個人差のある魔法でもある。 援助欲求は魔法使いがここにいる理由である。気持ちが弱ければ刹那的な生き方をしているように見えるし、気持ちが強いほど頼もしい存在に見えるだろう。しかし魔法使いの中にはこれと上手く付き合えず、誰かを助けなければというプレッシャーで心を壊すものもいる。【高い自己評価】 魔法とは、望むものがある異世界を繋げる力である。不可能に見えれば見えるほどその結果は奇跡のように扱われるが、簡単なものだった場合は無意識に使っていて本人すらわかっていなかったということもある。魔法使いが長生きであったり見た目に劣化が無いのは、無意識により良い未来に繋げているためだ。すなわち、彼らに失敗というものはほとんど無縁であるか、少しの努力で回避出来るものである。それ故に魔法使いは高い自己肯定感を持っていて達観していて、常に自信に溢れているように見えることが非常に多い。 高い自己評価は魔法使いの進化過程の現在地である。評価が高ければカリスマ性を持っている反面尊大に振る舞うこともあるが、評価が低ければ付き合いやすいようにも見えるかもしれない。たまにいる不器用な魔法使いは不得意があることを恥じている傾向が見える。【こだわり】 執着というのは大雑把に言えば生きる理由になるものだ。実は、古代の魔法使いには備わっていなかった特徴である。なんでも出来るようになった魔法使いは全てのものが無意味に見え、そのうちに命すら軽く扱い、無意識に使える魔法を使わずに簡単に死んでしまうことが多かった。結局生き残った魔法使いが生きることに執着していてそのために魔法を使っていたという話だが、その遺伝子が広く生き渡ったお陰で今に至る。 生きると言っても、生きてなにをしたいのかと言うほうが重要だ。かつては魔法に関する知識欲のみを是としていた風習もあったが、あらゆる価値観が流れ込んだ今では誰かへの強い気持ち、物品の蒐集癖、趣味に没頭するなど、なんでもアリな感じを受ける。所謂マニアとか、オタクとか、そんな言葉でも言い表せるだろう。 こだわりとは魔法使いが生きる理由である。こだわりが強ければ奇人変人にも見えるが生き生きとしていて、こだわりが弱ければ何事にもあっさりとした印象を感じる。程良くこだわっていればより人間らしく見えるような気もする。【事情通】 他人を助けるためにその気持ちを解りたくて、より素晴らしい結果のために最善を知りたくて、好きなもののためにあらゆる努力をしたい。魔法使いは常に情報に餓えている。元々頼られることが多いために悩みを打ち明けられ、人間関係の詳細をよく把握していた魔法使いにとっては、一集落の全てを理解しているということは当然だった。文明が進歩し世界が広くなった今、だからこそ扱いきれない情報をどこまでも追い求めるようになっているのかもしれない。 事情通であるとは魔法使いの生きる手段である。知りたがりであれば博識である反面パーソナルスペースを侵害しがちだし、情報に興味が無ければ視野が狭くなるが無垢にも見えるかもしれない。分別を弁えて上手くやっていく腕が魔法使いにも必要なようだ。【合理主義】 魔法使いの無意識な奇跡の一つに運命予測がある。平たく言えばなにが起こるかを理解する魔法で、行動が正しいか否か、不幸を回避するためにはどうすればいいか、選択の理由にするものである。個人差のある魔法であり、明確に未来のビジョンが見える者もいれば、嫌な予感がする程度の直観で終わる者もおり、自分が見たいときに見れる者、なにかの切っ掛けがあって見れる者、直前のことしかわからない者、遥か先の未来がわかる者など、感覚に幅があるようだ。 魔法使いは合理的だ、と書くとまるでロボットのような印象を受けるかもしれないが、それらもひっくるめて奇人変人のような扱いをされることが多い。運命予測で結果がわかった以上、無駄なことは必要無いと考える者がほとんどだからだ。合理主義が極まっていると蝶の羽ばたきが嵐を起こすのであれば、蝶の羽を毟ろうとするような、人間からすれば突拍子もない行動を起こしがちなのである。しかもどのような行動を起こすのかは魔法使いの価値観で大きく変わってくるため、なにをするのかは誰にもわからないのである。 合理主義とは魔法使いの惰性である。主義が強ければ周囲を無視した個人プレーをする場合があるし、主義が弱ければ不幸になる道を選ぶことを厭わないことがある。魔法使いを近寄りがたい存在にしているのはこの特徴が大きな要因の一つだ。

製本版「妄想魔法のトーヴァシェスポワリ」エラッタ

 この度は製本版「妄想魔法のトーヴァシェスポワリ」を手に取っていただき誠にありがとうございました。 以下の項目に修正がありますことをお詫び申し上げます。(2018/08/12現在)【ルールの誤植】p85/表・ステータス上昇誤:「運命力を増やすための判定です。~出目の合計が現在運命力に加算されます。」正:「好きなステータスを+1します。」【誤字の修正】p15/表「祈るのはパニックの終息だ。」→「祈るのは混乱の終息だ。」p23/『ステータス』「開放判定」→「解放判定」p25/表「魔法を杖を持っているみたい。」→「魔法の杖を持っているみたい。」p30~31/【アルルの踊り】【乙女心】【偉大なる一歩】「開放判定」→「解放判定」p40/魔法使いのデータ「~を選ぶと有利です。」→「~を選ぶと有利になります。」p43/表「開放判定」→「解放判定」p69/表「人々は傘を咲かせ、」→「人々が傘を咲かせ、」p72/『調整フェイズ』本文「魔法の開放などの準備、」→「魔法の解放などの準備、」p72/表「開放判定」→「解放判定」p73/表「魔法を開放しなければ」→「魔法を解放しなければ」p74/セッションチャート「魔法解放」→「解放判定」p77/『戦闘フェイズ』「《プレイヤー人数》回を目途に」→「《プレイヤー人数》回を目安に」p81/『ロールプレイのやりかた』「魔法開放や魔力回復の」→「魔法解放や魔力回復の」p82/その他の遊び方「既に開放している状態」→「既に解放している状態」p85/表・破壊判定「目標値は開放判定で」→「目標値は解放判定で」p87/『運命力回復』「回復は一回も」→「回復は1回も」【レイアウトの修正】p19/表小口側、表が枠と重なっていたため修正。p67/ロールプレイについてタイトルのフォントサイズを変更、他見出しと同じ大きさにしました。p72/表「セッション中に1回」数字が横向きになっていたため修正。p73/本文ページ左上の枠線を消し忘れていたため修正。p86/『破壊判定』「高レベルの攻撃魔法を破壊」→「高レベルの攻撃魔法」を破壊括弧の位置を修正しました。 その他ご不明な点、お気付きの点がございましたら製作者Twitterなどからご連絡いただければ幸いです。お手数をおかけいたしました。

テストプレイ「トキシックロダンの短い夜」4

『作戦会議』 ハバマス:うーん。ぶっちゃけあれですよね。多分。 木馬:ん? ハバマス:えーとさっき、準備期間以外でもレベルアップ出来るって聞いてちょっと、これ情報を10番に集めればその後にドンドン成長さちゃってもいいのかなって思ってて。 木馬:いや、まぁ先に情報を集めるのはいいんだけど、情報がどこまであるのか分からないてのが怖いんだよね。ハバマス:そうなんですよね、いや多分、多分この書き方だと膨張する毒を密室に追い込んで、さあバトルだって気がするんですよ。なんとなく。 木馬:まぁそうなんだと思うんだけどね、これが多分最後だと思うんだけどね。 ハバマス:ふふふ。木馬:そういうネタ読みもしていくと、ただ後14、5は余裕はあると思うんだよね。ハバマス:ふんふんふん。 木馬:あ14、5もねぇんか。このまま安定に成功し続けなきゃならないので。二人:(笑い)木馬:仮に成功し続けたら14、5は余裕あるのよ。ハバマス:ふんふんふんふん木馬:それだけあれば、多分魔力解放も4、5まではいけると思うし、そこから5くらいまでいったらまた魔力回復して準備する感じだよね。ハバマス:ふんふんふんふん。正直私がジンクスを1上げたら、そのあとは余裕で上げられる。プリケットのチャームを上げれば魔法は結構解放しやすいはず。 木馬:うんうんうん。 ハバマス:そちらはどうなんだろう。 木馬:いや、正直全部ワンドに寄ってるから。 ハバマス:ふんふんふんふん。 木馬:ワンドがそこまで上げなくても。いや駄目だろうな。魔法解放の際は解放判定の際の+の値はないので。 ハバマス:あーそっか。開けたはいいけど使えないですね、になりかねないのか。 木馬:そう。
木馬:まぁ取りあえずやっていくしかないよね。 ハバマス:そうですよね。やっていくしかない! GM:戻りましたー。 木馬:お帰り。 ハバマス:お帰りなさいませ。 GM:さぁなにか方針が決まったんですかね? 木馬:やってく、取りあえずやっていく! ハバマス:ふふふ。 木馬:とりあえず情報を先に開けてしまっても、センテンスが11にならなければいいってこと?情報全部開けたら戦闘始まるの? GM:それはえーと、調べたら分かります。 木馬:お、おう。 GM:もう言っちゃったほうが決めやすいのかな、どうなんでしょう。 木馬:これね、これはね難しいでちゅ。超難しいんですよ。それはGMの癖が出てくるので。 ハバマス:うーん。言い方変えれば10までしか情報は調べられないけど、その後も他の成長とかは出来るんですよね? GM:はい。 ハバマス:情報の期限が10までって事ですよね。多分。 GM:そう。あー。言っちゃった方がいいのかな。言っちゃった方が楽な気がする。あのえーとですね、センテンス10を過ぎるとですね。このドゥームは煙なので、この建物の外に逃げてしまいます。でなにが変わるかって、その10以内にこのドゥームを密室に閉じ込める事が出来ないと、ドゥーム自体の強さが変わります。 木馬:なるほど。 ハバマス:ふんふんふんふん。 木馬:これ密室に入れる様の情報出てくるね。これ多分。 GM:はい、そうです。 ハバマス:きついぞーきついぞー。 木馬:うんうん。とりあえず俺は判定に失敗でなんかちょっとねー、センテンスを無駄に使ってるのが痛いなー。やっぱりこれ。 ハバマス:うーん、いやいや。 木馬:1センテンスも無駄に出来ない!怖いよー!  GM:がーんばれ、がーんばれ。 ハバマス:鈴ちゃん頑張って情報集めてこれ5d6あったら、25いかねぇな、うん。あと1個欲しい。 木馬:うわーきついな。これ2人で取りあえず魔法解放して、レベル3までいくようにしましょう。 ハバマス:うんうんうんうん。はいはいはいはいはい。 木馬:あー、で、レベル2にはなってるから僕もじゃちょっと3まで目指して、増やしていきます。でいいでしょうか。  ハバマス:いいと思いますー。 
『ゲーム再開』
木馬:という事で、えーこのセンテンスターンはセンテンス3は花簪(かしん)が。 GM:センテンス3でいいですか。 木馬:えー、センテンス3で、ですね今。で、魔法解放します。 GM:はい。 木馬:レベル2なんで10以上。次はチャームだったけなぁ、僕は。花簪ちゃんにチャーム。チャーム4d6いけるやろ。いけるか、いけるな。よし。 解放判定 レベル2 花簪 鈴(かしん すず):4D6 DiceBot : (4D6) → 11[2,2,1,6] → 11 
木馬:セーフ危ない。チャームなーい1足りたー、2足りてるOK、よし! GM:ふふふ。木馬:で、センテンス4です。 GM:はい
ハバマス:さて、15、3dで15、3dで15、3dで15、3dで15。 木馬:3dで15はちょっときついぞ。 ハバマス:きついですよね。 木馬:ねー。 GM:3×5=15。ほんとだきついー。 ハバマス:うん、ジンクス1上げます。 GM:はい。  ステータス上昇 虚火橙 ジンクス3→4 ハバマス:虚火はジンクス1上げて、センテンス5でいいですか。 GM:はい。
木馬:いいですよ。 ハバマス:ありがとうございます。 木馬:いえいえ。どうしよう、3d6で15か。難しいって話をしてたんだよな。 ハバマス:先に情報抜いちゃったほうが良かったですかね、そっちのほうが。  木馬:あのね違う。ワンドでいくとね、僕次の魔法が、+7d振れるんですよ。 ハバマス:ふんふん。
木馬:7dで振れるんで全然魔法解放した方がいいんだよね、俺は。 GM:そうですね、危なげはないなぁと思いますね。 ハバマス:やっちゃえやっちゃえー! 木馬:とういう事で、じゃワンドを1上げます。 GM:はい。どうぞどうぞ。  ステータス上昇 花簪鈴 ワンド3→4  GM:センテンスが6になりました。  ハバマス:やば、これ凄いやばい。  木馬:これはね、これは思った以上にやばいから気を付けようぜ! ハバマス:はい、いやもうこっち大器晩成型なんで、どうぞ気にせずにドンドン開けて情報を集めちゃって下さーい。 木馬:じゃあちょっとこれで、ワンドの4の状態で、ワンドの4の状態だから15以上か、15以上か4d64d6、4d6で15出るか、出るな! ハバマス:いけるいける!  解放判定 レベル3 花簪 鈴(かしん すず):4D6 DiceBot : (4D6) → 10[1,2,4,3] → 10  木馬:10しかでねぇ!  ハバマス:おおう! GM:おおう、1234! 木馬:うわぁー嘘だろー!  ハバマス:1234、うわーうわー! 木馬:嘘だろー? ハバマス:うわーえーとうーん。センテンス7。 木馬:7だね今。まぁまぁあと1回回復出来るは言え。 ハバマス:まぁワンモアチャンス、ワンモアチャンス。 木馬:4d6出るかね15、いや怖いよこれ! 失敗するよりワンド上げた方がよくねぇ? ハバマス:そうですね、ワンド上げたほうがいい。4×4(16)から1引いて15 あれ無理じゃね。 木馬:ワンド15。ワンドで15。ワンド1上げてちょっとこのターン終了になっちゃうな。
 ステータス上昇 花簪鈴 ワンド4→5  ハバマス:はーい。センテンス8ー。  木馬:怖っ! GM:何か、怖いとかきついとかしか言われてない気がするんで大丈夫ですか。 全員:(笑い) ハバマス:楽しい。 木馬:いや楽しいー。 GM:頑張れー頑張れー! 木馬:これどうしよう、後12しかないんだよなぁでも。 ハバマス:んんんん、いやなんとか、なんとか情報集めちゃえばこっちの物のはず? 木馬:かなぁ?じゃ5d6でちょっと魔法解放させて頂きます。 GM:はい。どうぞどうぞ。  解放判定 レベル3 花簪 鈴(かしん すず):5D6 DiceBot : (5D6) → 18[6,1,5,2,4] → 18 
木馬:出たー良かったー! GM:よっしゃーいえーい。 木馬:良かったよー! ハバマス:良かったー!  木馬:うーん15以上5d6必要だよ。 全員:(笑い)
 『最後の情報判定』 木馬:ということで、えー、では最後の情報収集だけして、取りあえず後ハバマスさんに任せっか。 ハバマス:あざっす。頑張りまっす。まぁこれで情報が終わるんだったら、終わる。 木馬:終わる、いやもう1個位出てくるかもしんないけど、終わる終わる。 ハバマス:終わる終わる。いけるいける。 木馬:終わる終わる。 GM:じゃ9ですか、したら。 木馬:まぁ10d6で25は出るやろ。 GM:出る出る。 木馬:10d6ってまじか。まじか! ほんとに10d6かこれ。 ハバマス:いやー強い!強いよー、えー何これ超強い! GM:強いなぁ。 木馬:レベル3d6、ステータス5d6、【電脳記録の泥棒猫】で+2だよ、10d6だもん。  GM:ふんふんふんふん。 ハバマス:10d6。 木馬:10d6。GM:怖ぇー怖ぇー。 ハバマス:やっ、かっこいいー! GM:数の暴力ー! 木馬:いやいやいやいやいやいやいやいやいや! ハバマス:ここまでに来るのに結構かかりましたから! 木馬:結構かかってるからね!GM:まぁ、そうなりますよね。後半になるにつれ、情報の目標は上がっていくし。 木馬:そりゃね GM:3に設定してるくらいだから、3なんて多分調整フェイズの終盤のほうでしか使えないと思いますけど、まぁ妥当じゃないですかね。 木馬:そ、そうですね……。 ハバマス:いぇーい。  情報判定「膨張する毒」 花簪 鈴(かしん すず):10D6>=25 DiceBot : (10D6<=25) → 36[4,5,1,6,6,1,3,6,1,3] → 36 → 成功 
「防煙シャッター」 幸いあのドゥームになにかを破壊する力はないようだ。 順番通りに締めていけば地下駐車場に追い詰めることが出来る。 そこで悪意を打ち払わなければ。
「地下へ行く」と宣言すれば戦闘に入ることが出来る。
 木馬:36も出てるんで大丈夫です。36も出てるんで大丈夫です。成功ですとりあえず。 GM:おめでとうございます。これが最後です。 木馬:おー。
GM:最後ですよ! 木馬:良かったー。 ハバマス:良かったー。 GM:防煙シャッターをですね、そうだなぁ、それでは鈴ちゃんが開示したので、【花咲く華憐火】。通路に設置してある防煙シャッターが、鈴ちゃんがこう指をさすと、そこに光が突っ込んで行きましてパシンと防煙シャッター当たった瞬間に、シャッターがガガガガガって閉じでいきます。 木馬:やりました!
GM:いぇーい! ハバマス:おおおおおおおお! GM:こういう感じで、これらをドゥームがいる場所で適切に行っていき、徐々にドゥームを地下駐車場に追い詰める事が出来ます。それではその後に準備フェイズが終わるか、地下へと宣言すれば戦闘に入る事が出来ますが。 木馬:はい、センテンス回復します。 ハバマス:回復ー。
木馬:回復ー。 GM:どうぞ。 木馬:えーとでも、魔法が何点使うのレベル1だったら、4点も使うじゃないか! GM:いえーす。 ハバマス:ふー!

テストプレイ「トキシックロダンの短い夜」3

『時間よ戻れ』GM:それでは現在センテンス6でどちらが?木馬:6でしょう。ここはもうお互いにステータスを上昇していかないといけないと思います、まず。ハバマス:そうですね。うーんといってもなぁ、魔力がきついんだよなぁ。20しか無いんだよなぁ。きついなぁ。木馬:20もあるじゃねぇか!僕は10だよ、10!全員:(笑い)GM:弱い魔法使いの運命ですねぇ。ハバマス:いやー正直ですね、ルサルカで殴ろうと思ってた。レベル6の魔法で殴るような構成のつもりでいたんで、なんて言うんですかね。木馬:うんうんうん。ハバマス:きつい(ボソッ)木馬:きついよ、きついよ。ハバマス:いやー!木馬:超きついよハバマス:きつい。これきつーい。えー、伸ばすんだったらこっちだとジンクス、かな? うん。木馬:いや、もうぶっちゃけチャームを伸ばそう。ハバマス:チャームですか。木馬:チャーム3か、情報収集しても俺と一緒になっちゃうのかそれでも。それでも。ハバマス:そうなんですよね、チャームを伸ばしても意味ないんで、うーん。……うーん。木馬:意味が無い訳でも無いけど!ハバマス:まぁまぁまぁそうなんですけど。チャームか、チャームか、チャームか、うーん、20? 3×6(18)だからチャームは私今の時点で絶対出ない。木馬:そうだね、そうなんだよね。もうあれだよ、これ逆にダメージソースとして頑張って貰えばいいのかなもう。ハバマス:そうですね、自分もちょっとそのつもりで作って来たんで、ダメージ係のつもりで。木馬:ダメージ係で宜しくってという事で、そのダメージを伸ばす為の成長を成長をしていって貰わないとですね。もう情報収集は私はなんとかします!ハバマス:お願いします。えーじゃあそうですね、私は10でキャンドル・オブ・ウィッシュ使ってセンテンス回復します。それで良いかな。木馬:それまでにうちがなんとかしとけば良いんだな。ハバマス:はい、お願いします。何だかんだこのギリギリのが今ちょっと凄い楽しいです。GM:そうなんですか。そっかぁ。木馬:じゃ、チャームを1点上げます。GM:はい。ステータス上昇花簪 鈴 チャーム2→3木馬:で、7ターン目になります。GM:はい。木馬:では、チャームを1点上げて。5か。5d6。出ろよ。出ろよ(笑い)ハバマス:(笑い)情報判定 「薬品会社」花簪 鈴(かしん すず):5D6DiceBot : (5D6) → 17[5,1,3,3,5] → 17木馬:こねぇー(笑い)ハバマス:なんじゃこりゃい(笑い)木馬:くそぉーこねぇよー(笑い)この1! 1じゃなくてさ4出て、くそぉー(笑い)……もう1回、もう1回やって、じゃセンテンス回復する感じで良いかな。ハバマス:はーい了解でーす!今センテンス8かな。木馬:これで8になって、その8でもう1回5D6をして駄目だったらば、回復させるしかないので。情報判定 「薬品会社」花簪 鈴(かしん すず):5D6DiceBot : (5D6) → 16[5,4,1,2,4] → 16はい駄目でした!ハバマス:あー。木馬:怖いよー、やべぇこれ(笑い)ハバマス:やべぇなー、えーと、えーと。GM:あー……あー……。今9ターン目です。 ハバマス:ふんふんふん、じゃあ、もう一回振るか成長させるか。木馬:上げておく、上げておく。ハバマス:上げる、上げましょう上げましょう!木馬:成長させておきます。チャーム4にしておきます。ステータス上昇花簪 鈴 チャーム3→4木馬:ひぃー! ひぃー!ハバマス:ひぃー!木馬:ひぃー、10になっちゃった、よろしくー!GM:なんか皆ひーひー言ってる。ハバマス:はーい、【キャンドル・オブ・ウィッシュ】を使いまーす。GM:はーい。ハバマス:時間よ戻れー、時戻れー。GM:戻れ―。この場合消費魔力はレベル1なんで4点ですよね。GM:そうですね。ハバマス:はーい、じゃあ時間よ戻れー!戻したー!GM:はーい、時間戻りました。じゃあ残り10ターン。現在ステータス虚火橙チャーム:3 ワンド:2 ジンクス:3魔法:【キャンドル・オブ・ウィッシュ】花簪鈴チャーム:4 ワンド:3 ジンクス:2魔法:【キャンドル・オブ・ウィッシュ】『戻って1ターン目』木馬:さて(笑い)これ6D6あったら成功するやろ!ハバマス:流石に成功するでしょう!情報判定 「薬品会社」花簪 鈴(かしん すず):6D6DiceBot : (6D6) → 27[4,6,3,6,6,2] → 27木馬:した、良かった。ハバマス:でかい。GM:いえーい。でかい。木馬:でかいし。さっき出しとけよここで。ハバマス:(笑い)GM:えーと情報が出たんですね。木馬:はい。ハバマス:はい。GM:そう、えーとですね。木馬:もうワンドで来いよ、ワンドで。ワンドで来いよワンドで(笑い)「膨張する毒」薬品会社に忍び込み、薬品ビンなどが割れていることを確認した君たちはその近くで半透明に蠢く化け物の存在も認識した。霧状の体に薬品を取り込み、その体内に危険を孕みながら極彩色に変化しつつ体積を増やす悪意、あのドゥームが事件の犯人だ。あれを町へ逃がしてしまうと悲劇は起きてしまう。どうにかして密室に追い込まなければ。ワンド/25で次の情報が公開される。GM:ワンドですよ!木馬:やった。ワンドで25かよし。魔力解放していこう僕は 。GM:薬品会社に忍び込み薬品瓶等が割れている事を確認した君達は、その近くで半透明に蠢く(うごめく)魔性のの存在も確認した。とこれがドゥームですな。木馬:はーい。GM:まぁプリケットが扮する、なんだトウちゃんでいいのかな。ダイダイ? 読めてなくてすいませんな。ハバマスさんのキャラなんて言うんだろう。 ハバマス:あー!えーとですね、これはー……なんて名前だっけ?GM:え?(笑い)ハバマス:虚火 橙(オボロビ ダイダイ)だったはず。GM:ダイダイちゃん。木馬:ダイダイちゃんなの?GM:プリケットが扮する橙(ダイダイ)ちゃんがですね、そうだな。一瞬廊下を過ぎ去る煙のようなドゥームを見たし、うーんとね、木馬さんの鈴ちゃんもそこでそれを見たというか。木馬:うん。GM:一松のパソコンでもざーと動いてるような物が見えてる感じですね。という敵の姿を確認しました。木馬:はーい。GM:で、この敵は煙なのでこのままだと町中に広がってしまいますから、それをどうにかして密室に追い込んで戦おうという話です。木馬:両方を掃除機で吸えばいいだな、よしOK!ハバマス:家庭的だー!GM:で、今のがセンテンスの1ターン目だったのかな。木馬:うんうん、2ターン目になりますね。 きっついなぁ(笑い)ハバマス:(笑い)木馬:これね僕のレベル3の魔法【フットワークウィンド】が「ワンドで情報判定行う時にレベル分+D6」出来るんで、そこまで魔法開放させて下さい。GM:おー。ハバマス:どぞどぞー。木馬:あでもお互いにこれやっていかないと、片方だけ強くなっちゃうんで、ま一回ハバマスさん、橙ちゃんを強くしていかないと。そろそろ。ハバマス:そうですね、あかんあかん。ちょっときつい、えーと【セブンカウント】に行けばいいのか、うんOK。じゃ魔法解放します。木馬:しちゃってくーださい。ハバマス:はーい、しちゃいます。えーとチャームだから3d6で10以上。うわっきつい。まあいいや。3d6で10いける。とうー、行けー。解放判定 レベル2虚火 橙:3d6>=10DiceBot : (3D6>=10) → 13[5,2,6] → 13 → 成功木馬:おー、いったいった。GM:それでは【セブンカウント】の解放ですね。木馬:ハバマスさんが成功させたんだよね。ハバマス:はい。成功しましたでござる。はい。木馬:で、3になってるからえーとどうしよう、橙ちゃんがどこまで強くさせるかだよねこれ。ハバマス:えーとですね。木馬:正直ね、もう1回位やっておかないと、多分魔力の回復も間に合わないので。ハバマス:うんうんうんうん。うーん、って言ってもな。木馬:こーれはセンテンス回復の魔法は覚えておいた方がいいな。ハバマス:うんうんうん。これはきつい。ほんときつい。木馬:これはきついわ。ハバマス:やばいわ、センテンスやばいわー。木馬:うーん。ハバマス:うーん、とりあえず2人共レベル3位まで上げておきます? 上げられるんだったら。木馬:そうだね、上げられるんだったらレベル3まで上げておけば、とりあえずなんとかなるかな。GM:レベル3までいけば、回復も攻撃の魔法もありますからね。木馬:うーん。GM:ちょっと考えてますか。ちょっと退席してよろしいですか。木馬:どうぞ。ハバマス:いってらっしゃいませー。書き起こし:ootaさん

テストプレイ「トキシックロダンの短い夜」2

『女というのは、嘘が上手であるべきよ』 用意と言ったってやるのは移動方法の確認くらいで、後の時間はむやみやたらと自分を大事にするくらいだ。美味しいご飯を食べるし、綺麗な服を着ていく。未来から遥々後悔してきた誰かを前にして余裕を見せられないなんて魔法使いの矜持が廃ると言うもの。これから死にに行くのを恐れていては、その震えが祈りを折ってしまっては、駄目だ。女というのは、嘘が上手であるべきよ。 さあ出発の時間が迫っている。シンプルな枠組みの姿見を前にしっかりと立つと、アタシは瞬きをした。暗示だ。鬼や獣や幽が、騒ぎ渦巻きながら祭りのようにこの世にやってくる時間帯が澱んだ紫の不可思議な髪。七つの山と七つの谷を越えて言い伝えられた繊細な造りのコートとハットも、まるで魔族を統べるような威厳。それでも彼女の表情に一点の曇りは無く、なにが楽しいのか常に口角が上がっていた。聡明な預言者が必ず庭に咲かせる鮮やかなマリーゴールドの爛漫なオレンジが、その全てを観察し終えると少女は微笑みを残して鏡の前を去る。プレイヤー1:ハバマス魔法少女:虚火橙(おぼろび-だいだい)髪:妖怪がやってくる大禍の空瞳:預言者のマリーゴールド願望:嫉妬コスチューム:ファンタジーキャラクター:ファニー魔法(レベル順)【キャンドル・オブ・ウィッシュ】【セブンカウント】【アルルの踊り】【fall in love】【レプリカント】【ルサルカ】【トーヴァシェスポワリ】『こんな都合の良い恰好の女がいるか』 知り合いに二ヶ月くらい借りっぱなしの本だから、さっさと読んでしまおうかと思っていたのに。今や邪魔になった厚さ2cmを机の端に追い込むと三枚の液晶をじっくりと眺める。一つは実際に色々と操作する為で、左右は辿り着いた情報を監視する為の用途で、それに違わず今は監視カメラの映像を盗み見ていた。大体寝静まった町に怪しい影は見当たらない。 ふと映像に少女が映る。濡れたように艶のあると言えば聞こえはいいが、まるで血が流れたような赤い髪。非常に健康的で柔らかな肌を強調するように露出の激しい衣装は、和服を崩したようなデザインだ。どう考えたって今の時間帯を出歩く少女の恰好じゃないのに、甘ったるい黄色の目は底抜けに明るい色をしていた。こんな都合の良い恰好の女がいるか。 いつもそうだ、変な依頼を受けてみれば可愛い女の子に出会う。一体君は誰なんだ?プレイヤー2:木馬魔法少女:花簪鈴(かしん-すず)髪:ギロチンから滴る女王の鮮血瞳:パイから溢れたカスタード願望:欲情コスチューム:ナデシコキャラクター:ポップ魔法(レベル順)【キャンドル・オブ・ウィッシュ】【花咲く華憐火】【フットワークウィンド】【フランベルジュの情熱】【グングニール】【エインセルの悪戯】【トーヴァシェスポワリ】『どうやって動きたいんだろう?』GM:とりあえず1ターン目スタートです。木馬:はーいハバマス:はい!GM:どちらから動いても構いませんし、一人5ターンじゃなくても大丈夫です。そういうのを踏まえた上でどっちがどうやって動きたいんだろう?木馬:とりあえず僕は情報判定かな。ハバマス:そうですね、どんどん情報を抜いていかないと危ない気がして。戦闘フェイズに入っちゃったら準備できなくなる感じですか?GM:それは情報に書いてます。シナリオによるんじゃないかと思いますが今回は調べればわかるよってことで。ハバマス:はーいわかりましたー!一発出たくらいじゃ即戦闘にはならないかな。木馬:なる、ほど?ハバマス:ちょっとこれ、早急に行っちゃうと準備が足りない……まだうちも木馬さんも攻撃が出来ないんですよね?木馬:そうねぇそうなると。GM:今の状態だと全ての魔法は開放されていないのでレベル1から順番に開放していく形になりますね。ハバマス:開放判定ですよね?GM:そうです。木馬:とりあえず魔法か?開放判定を何回かした後に?ハバマス:いやそれでも間に合わなかったら怖い、ああああ。木馬:情報は任せろー。ハバマス:おおー、ジンクス、ジンクス、ジンクスは3ある、行ける。行けるかな?木馬:しまったー、そういうことか!ハバマス:ジンクスは私が調べたほうがいいかもしれない。木馬:いやー?あの僕一応【電脳記録の泥棒猫(クラッキングキャット)】があるので、なんでも+2d6されるので。ハバマス:あ、あっ!木馬:あとですね、【エインセルの悪戯】まで開放できればいくらでも、いくらでも!ハバマス:ひゃーーー!じゃあそっちにお任せしたほうが良い気がするー!GM:それではどうしましょうか?木馬:ふぅん、ま開放判定からでいいんじゃないかな?ハバマス:どうしよ、二人とも開放でいいのかな?木馬:うん開放で良いと思うよ?GM:ハバマスさんのレベル1はチャームですね。開放判定は魔法に指定されているステータスの値を使って行います。《ステータスの値》d6ですね。ハバマス:はい!GM:目標値がそれぞれ決められていたと思うんですが、レベル1なので5点ですね。なーのーで、プリケット・ミラームーンのチャームが3なので《3d6で5以上》出せば開放出来ます。ハバマス:はい、じゃあ振ってみます。開放判定 レベル1虚火 橙:3D6>=5DiceBot : (3D6>=5) → 9[3,3,3] → 9 → 成功GM:それではレベル1【キャンドル・オブ・ウィッシュ】を使えるようになります。ハバマス:やったー!木馬:じゃあうちもか。これはなにで振ればいいの?GM:レベル1【キャンドル・オブ・ウィッシュ】のステータスがワンドですね?木馬:ワンドで目標にしていいのね?GM:一松三子のワンドは3なので、3d6ですね。木馬:はーい。開放判定 レベル1花簪 鈴(かしん すず):3D6DiceBot : (3D6) → 14[6,6,2] → 14木馬:14です。無駄に高ぇくそぅ。GM:それでは二人ともレベル1は開放したということで。現在センテンス3です。『いざ情報判定』木馬:さて。さてさて。結構リスキーだなぁ?ハバマス:情報お願いしてもいいですかー?!木馬:情報やっちゃうかぁ。しかぁし、ちょっと待ってねぇ。はい。木馬:これ電脳記録の泥棒猫(クラッキングキャット)】のコストは?GM:無いです。木馬:無くていいのね、常駐なのね。ハバマス:ヒュー!木馬:ジンクスで判定していいのねこれは。ジンクスだとなんと1しかないので3d6か。情報判定 「窒息死の町」花簪 鈴(かしん すず):3D6DiceBot : (3D6) → 12[4,6,2] → 12木馬:足らんか。目標15で足らないんだね?失敗してもうた!ハバマス:いえいえいえ!大丈夫でーす!これはステータス上げて挑むべきですな。木馬:15はきついね。ハバマス:きついきついきつい。とりあえずそちらジンクス1上げたらどうですか?木馬:うんジンクス上げないと俺は。4d6だったら出るやろー。ハバマス:出る出るー流石に出るー。GM:では4ターン目はどなたが?ハバマス:このまま続けて一松さんのジンクス上げて良いと思いまーす。木馬:いいんですかぁ?ていうかこのステータス上昇ってなにを振ればいいんですかぁ?GM:なにも振らなくていいです。木馬:強っ!ハバマス:つよーい!宣言だけって強い!ステータス上昇花簪 鈴 ジンクス1→2木馬:とりあえずジンクスが2になって、今センテンスが5?GM:そうです。木馬:これきっつ!きっつ!これきっつ!ハバマス:きつーい!これきつーい!木馬:超きっつい!GM:きついかぁ、きついですね。木馬:これ難易度高ぇ!(笑い)GM:そうか、高いかぁ。木馬:超詰将棋みたいになってる。ハバマス:いや楽しいこういうの。GM:とりあえずセンテンスが5で?木馬:ハバマスさんなんかやる?ハバマス:いやぁ、とりあえず情報抜かなきゃリミットがわからないのでなんとも言えない。木馬:あっ、お互いに相談しながらやってかなきゃいけないのかこれも。やってっていいのね?GM:はい。木馬:では、このまま4d6で振ってみます。情報判定 「窒息死の町」花簪 鈴(かしん すず):4D6DiceBot : (4D6) → 19[5,5,6,3] → 19木馬:やった!ハバマス:おおー!木馬:いえーい!ハバマス:いえーい!GM:それでは次の情報ですね。「薬品会社」一番有力とされていた原因は、薬品会社の備品の損傷だった。深夜0時に起きた地震で薬品の入っていたガラスが割れ、そこから漏れた液体が反応すると毒ガスが発生することがわかっている。しかし、町全体を一夜にして覆うほどの量ではない。これを持ち出した形跡もなく、解明の手掛かりにはならなかった。チャーム/20で次の情報が公開される。木馬:チャーム20とか馬鹿なこと言ってる!クソッ!ハバマス:これはきついー!GM:そりゃ難易度上がってくに決まってるじゃないですか!ハバマス:そっか、これは魔法使いを成長させて叩くゲームなんだ、なるほどぉ。GM:そうなりますな。ほら、他のTRPGってセッション終わったあとに経験値を貰って成長させたりっていうのがあるじゃないですか。ハバマス:ありますねぇ。GM:でも私基本的にキャンペーンとかやらないんで、あとで強くなるよって言われてもそんなに嬉しくないっていうか。だったらゲーム中に出来たらいいなって。ハバマス:あー、わかる。木馬:それ超わかるー!ハバマス:これは魔法少女の育成ゲームだー!続

テストプレイ「トキシックロダンの短い夜」1

『そもそもどういうストーリーなのか』GM:境界線 -Line-と呼ばれる日から66年後に日本は絶滅します。木馬:絶滅。GM:みんな死にます。ハバマス:な、なんだってー?!GM:元々日本はドゥームと呼ばれる魔法的な災厄によって何度も打撃を受けていたのですが、とうとう大終焉と後に呼ばれるであろう事態によってあなたたちを含め日本全体が死に絶えます。木馬:なんでいつも日本なんだ!GM:だって日本の文化が一番わかりやすいから……木馬:そうだね(笑い)GM:それでですね、あなたたちは死ぬんですが、ここに死因を決めるランダム表があるのでどうぞサクッと死んでください。※さくっと死にましょうか。(D12)死因表(D12) 1 狂死 "そして君はもがき苦しんだ。"2 捕食 "そして君は噛み砕かれた。"3 氷結 "そして君は凍えて震えた。"4 溺死 "そして君は水底に沈んだ。"5 転落 "そして君は奈落に墜ちた。"6 窒息 "そして君は空気を求めた。"7 激痛 "そして君は痛みに叫んだ。"8 圧死 "そして君はすぐに潰れた。"9 埋没 "そして君は光を失くした。"10 焼死 "そして君は熱に焼かれた。"11 感電 "そして君に電流が走った。"12 爆発 "そして君は弾けて散った。"木馬:焼死。GM:燃えて死にました。木馬:なんてこった、息子たちを残して。GM:息子たちも死んでるから。木馬:やめろ! そういうこと言うな!ハバマス:怖いー!GM:みんな死んだんだ!ハバマス:みんな死んだんだ……!GM:みんな死んだからあなたたちの死は特に凄く重要なことではない。木馬:なるほど。ハバマス:なるほどー!GM:ハバマスさんは電気で死にました。ハバマス:感電しました。ビリビリビリ。GM:それぞれストーリーみたいなものも作ったのでお暇なときに見てください。木馬:ドゥームが手叩いて喜んでるらしいです。GM:はっはっはっ!木馬:あれですな、息子たちを守ろうとして自傷ですかね。ハバマス:ケタケタケタ、なんだよアイツ子供を守って死んだぞ!これからみんな死んじまうのにさ!木馬:やめろ!悲しくなる!GM:そうやって死んでしまったあなたたちですが、死ぬ前に見る走馬燈がありますね?あるんですよ。そこで過去の思い出が流れてきます。それを見ていると、明らかにあなたの知らない風景が出てきました。どう考えてもそこには行ったことが無いし、名前も知らなかったかもしれない。でもあなたたちはこの見ず知らずの場所で大事件が起きることをわかります。木馬:なんてこった。GM:そしてその大事件をどうにかして解決しなければ、これを足掛かりとして大終焉が起こり、またあなたたちは死んでしまうでしょう。しかしあなたたちは今は意識体なので、そこに手を出すことは出来ません。なので誰かに助けを求めるように祈りを捧げました。GM:つまり死んでしまったので、生き直すために、過去に戻って、死亡フラグを折る。と言うストーリーです。全員:(笑い)木馬:まぁまぁまぁ、すげぇわかりやすく言うとそうだよね!ハバマス:バッキバキに折ってやんぜぇー!『今回予告』GM:今回のセッションのタイトルとトレーラーです。「トキシックロダンの短い夜」センテンス:10/30 人数:2魔法使い:可変 時代:繁栄期この町は今夜、五万人の死者を作る。怪奇現象として未解決となったあの事件は、やはりドゥームの仕業だったのだろう。深夜0時、大きく地面が揺れた瞬間あの町で本当にあったことを、君たちは知る。GM:そして最初の情報です。「窒息死の町」龍動町という町で五万人の死者が出た一夜があった。誰も助かることもなく三日後に外部からの接触でその事実は全国に知られる。しかし、人々は窒息死と判断され寝ている間に呼吸筋の麻痺があったものとされながらこの大規模な事件の原因は特定されなかった。ジンクス/15で次の情報が公開される。GM:ジンクスで15を出したら次の情報が開示されますが、それは導入が終わってからの話。それでは導入をしていきましょう。木馬:了解しました!ハバマス:はい!『導入 プリケット・ミラームーン』GM:それではPC1のハバマスさんから。ハバマス:はい。GM:イメージ的にはまだ走馬燈の中で。龍動町というところでこんなことが起こるんだなぁとぼんやり思っているところから始まります。ぼんやりと龍動町を見ているとですね、不意に心臓を鷲掴みにされるような感覚を持って引きずり込まれます。ハバマス:ふんふんふんふん。GM:気が付くと、胸倉を掴んだような位置にいる赤い髪の女の人があなたを真顔で眺めていますね。ハバマス:ふんふんふんふん。GM:あなたにはこの女性の名前が「プリケット・ミラームーン」であることがなんとなく頭に入ってきます。ハバマス:周りの風景はさっきと同じ感じですか?GM:殺風景な感じの部屋の中です。ハバマス:じゃあ、「ここは……」とかテンプレ的に言っておきましょうか。「俺はさっき死んだんじゃ……」GM:「そうよ、死んだのよ。死んだからここにいるんでしょう?」ハバマス:「なるほど、じゃあ、赤い髪のお前は死神か?」ていうか魔法使いの存在って知られていますか?GM:たぶん知られてないんじゃないかと思います。ハバマス:だったら赤い髪の死神っぽいなぁー。GM:そっかー、死神かぁ。「へぇ、死神。そういう見方も出来るかもしれないわね」と。「まぁアンタを生かすも殺すもアタシの自由とも言えるけど」ハバマス:「じゃあ、その死神さんが俺になんの用だ?」GM:「なんの用って……用があるのはアンタのほうじゃなくって?」ハバマス:「俺……俺が?」じゃあその直前で、自分が強く助かりたい?この状況をなんとかしたいと思っていたことを思い出してもいいですか?GM:いいですよ。ハバマス:じゃあ直観的に「お前が、いやあなたがあの状況をなんとか出来るんですか?!」GM:じゃあそれを聞くとですね、プリケットは今まで真顔だったんですが、口角を釣り上げて楽しそうに笑いますかね。「ええ、なんとかしてあげるわ」ハバマス:「お願いだ、なんでもする、なんでもするから、頼む、あの厄災を無かったことにしてくれ!」GM:「ええいいわ、いいわよ?そんなに必死に頼まれるとやりがいがあるってもんね!」それじゃあ、なにがこのあとに起きるのか教えてとプリケットが言いまして、あなたも龍動町で事件が起きるということを教えます。ハバマス:はいはいはい、こんなことがこれから起こるんだ、的な。GM:「ちょうど三日後くらいね」ハバマス:三日後ですか。GM:プリケットは三日後なんです。「オッケー、わかった。龍動町を救えばいいのね」と言って、プリケットはその場にあなたを置き去りにしたまま、龍動町に行く準備を始めました。と言う感じで、ハバマスさんの導入はおしまいです。ハバマス:はい、わかりました!『導入 一松三子』GM:プリケットは三日前だったんですけど、三子は一時間前くらいです。木馬さんの意識はぬいぐるみが敷き詰められた部屋の中にあります。一松三子が電源の入ったパソコンの前に座って、本でも読んでる感じですかね。木馬:畜生話しかけ辛ぇなそれ!GM:一松三子は、魔法使いとしては弱いのでハバマスさんみたいには話しかけられないです。木馬:なるほど?GM:話しかけるには、パソコンを使ってください。なんでもいいです、動画でも音声でも、メールが送られてくるでも。木馬:なるほど、そうなのか。チュンさんから情報が来るんだな。ハバマス:ああー。木馬:それは置いといて、そうだなじゃあ。たぶんポケーとしながら「なんだろう気付かないのかな?」とかタバコを吸い始めるんですけど反応がないので。スハースハーとかやってるうちに自分の体が「あれ、パソコンの中……入れる!!」みたいになってですね。GM:(笑い)木馬:ヘイヘイ、ヘイ!と、メールで。GM:じゃあメールがポンポンポンと送られてきて、一松もビクッて。木馬:こっちはたぶん口頭でメールを送っているので一松より反応が早い感じで。「ここはどこだよオイ。お前は誰だよ!」って短文でメールが来る。GM:「え、え、なにこれ……わっ、ちょ」メールの返信してても意味なさそうだな。返信してもたぶんエラーが出てきますね。木馬:「いや、その場で良い、その場で良い」怖!その状況怖!GM:「あ、そういう……最近流行りのアレだな」木馬:流行ってんだ(笑い)GM:「そ、なんか君みたいにね、よくわからない方法で連絡取ってくる奴がいるんだよ」木馬:なるほど?で、ここに俺がいる理由が君はわかるのかと。GM:「いや、知らないけど」木馬:「うーん、ちょっと考える、待ってて」と、思い出してみるんだけどその事件しか出てこないんだよね。GM:そうですね。「でも私に連絡を取ってきたんだから、私に依頼なんだろ。なにを調べればいいんだ?」木馬:なるほど君は調べるのが得意なんだね!教養5あるんだね!GM:そうですね、龍動町の名前を出してくれれば勝手に調べます。木馬:「龍動町という町を知ってるかい?」GM:「龍動町?龍動町ねぇ。どこだったかなぁ?」と言いながら調べ始めますね。木馬:「そこで5万人死ぬらしいよ」GM:「5万人?どこの情報だそれは……」と言ってる内に、木馬さんの意識が別の風景を映します。半分一松の部屋で半分龍動町。木馬:わーお(笑い) どういうことだ。GM:で、龍動町に木馬さんの好きな、鈴ちゃんの後ろ姿が現れます。木馬:それを見ると「花簪か?」と言うしかないんですよね。GM:鈴ちゃんは一瞬あなたのほうを振り向きますが何も言わず、また前を向いてそのまま歩き始めました。その傍ら、一松が龍動町について着々と調べています。木馬:はーい。GM:一方その頃、プリケットが町に到着して調べ始め、しばらくして地震が起きるという感じです。以上が導入になります。『セッション開始』GM:というわけで以降は「龍動町でどうしてその事件が起きたのか?」ということを調べるターンに移るんですが。木馬:はいはいはい。GM:マップ横にセンテンスと書かれたマス目がありますね?

第一話 オルタナティブ・スピカ

 66年前の6月に、本州の大半を担っていた企業の発電所が謎の大爆発によって機能を無期限停止し、6年ほどの夜が夜として君臨する暗黒時代と呼ばれる絶望があったことはもはやこの国の常識である。あれから、あらゆる生活に必須な要素を預かる施設は小さく分けられ、一つが壊れてもなんとかなるという状態になって、きっと二十一世紀からは考えられないほど都市は縮小化し、田舎は開拓が進み、良くも悪くもどこへ行っても同じ景色だ。各地方の特色と言うものはほとんど無くなって日本は日本と言う一つの地域になったのだ。それを諸外国からは残念がられていて、面白みのある文化が無くなってしまったと言う皮肉も込めて暗黒時代の爪痕とも言っているらしい。 しかし、そうではないのだ。暗黒時代と言われるだけの暗黒が、星明りではどうにもならなかった、およそ人間では生み出せるわけがない、そしてどうにも出来ないだけの暗黒があの六年間に現れたのだ。偉い人が隠蔽せざるを得ないあれらは常識的都市伝説となっている。僕らは、それをドゥーム(魔法のような科学)と呼んだ。 命の危機だ、と言うことはわかる。そしてこれが果で底だ、とも思うし、故に死だ。あんなのどうやって、どうすればいいと言うんだ? 虫が這うような音と石壁を貫く鋭い音は同時に近づいてきていて、僕は意味もないのに息を殺している。 色んな場所が平均的になってしまったとは言っても、有人か無人かの違いはあるし、もう直しようがないところは傷を剥きだしにしたまま風化を待つように置き去りにされている。ここはそういう場所だった。かつては繁華街だったと言うこの町はやけに広くて、どれだけ賑わいがあったのかと言うのが、もう光ることのないカラフルな看板の数や一つ一つのビルの高さでわかる。僕にはあんまり馴染みはない、それもそうだろう、街がドゥームによって営業不可能に追い込まれた当時僕は8歳、そんなところを歩いて居ようものなら悉く犯罪に巻き込まれている。でも、おばさんがここで水商売をしていて、ここでなにがあったのかを語ってくれた。 ―――路地裏のあちこちから、溢れるように影が伸びてきたらしいの。その後ゆっくり壁を伝っていったのだと思うけど、夜だし、暗い場所だから、誰も気が付かなかったのね。誰かが大きな電光掲示板に向かって、あっ、て言ったの。電光掲示板の端が欠けているのをみんな見たし、その途端にほとんど全ての明かりが影に覆われて、なにも見えなくなってしまった。みんなどよめいていて、悲鳴が聞こえたのもすぐだったわ。足元が揺れたの。水が満ちていくような揺れだった。それは水じゃないとわかったのは水位が足首まで来たときだったかしら、生暖かくて、ぬかるんでいて、べちゃって何かが当たるのよ、そこまでわかったのを見ていたかのようにパッと明るさが戻ってきた。そうして赤い血が一面に広がっていて、何人かの残った人たちだけが私と同じように立ち尽くしていて、もう叫ぶことも出来ずにとにかくどこかへ逃げようとしたのよ。血の海に足を取られながら街の外を目指して必死に走った。気が付いたら私は病院に居て、錯乱していたところを保護されていた。他の人はどうなったのかしら……。 おばさんはその時すでに別の繁華街で働き詰めていたけれど、翌年に違うドゥームに巻き込まれて死んでしまったと言う。だから、その話を聞いたきり会えなくなってしまったわけだ。話してもらって良かった、ドゥームを口に出せばドゥームを呼ぶ、と言うのはドゥーム自体と合わせて常識的都市伝説でなかなか話してくれる人が少ない。しつこく聞けばまるで不審者を見る目だ、僕は昔からそれを痛感している。誰か助けて。 ……そんなわけで、これは僕が招いた結果なのかもしれないし、おばさんの言っていたドゥームがここにまだ残っていたのかもしれない。誰か助けて。しかし本当に影なんだな、いつの間にか僕から見た街の右側はシルエットで穴を開けたように建物が真っ黒になっていて空との対比が恐ろしいほどで、しかも時々脈打っているのが、私は生きているんだとでも言いたげで気味が悪かった。そう気が付いたと思えばびゅうと壁を突き抜けて影が僕の頬を掠めた。誰か助けて。当然ながら僕は逃亡の選択を取るのだけど、やっぱりというか、追い詰められている気がする。どんどん街の中央に来ていると思う。誰か助けて。このまま出口まで走れるだろうか、と前向いた瞬間に目の前を塞がれて進む道は狭くなっていった、嗚呼、これは行き止まりになってしまうな、嫌な予感しかしなかった。誰か助けて。もはや空は細く切り取られ、半分ほどを覆われている。埃っぽく壊れていないのが不思議な壁に挟まれながら、しかし僕はとうとう足を止めた。ボロボロになったフェンスだけなら、まだどうにかしようと思ったけれど、その前に首や四肢が満遍なく欠けて、上半身と下半身を丁寧に分けられている屍の山を積まれているのを見ると嫌悪感と絶望で足が竦んだ。酷い有様だ、と。これはきっと人間の仕業じゃないし、延いてはこの影のドゥームのせいだと思った。僕を追い詰めるための場所に街中の死人をかき集めた、こんなのは残虐非道であんまりだ。僕が、この人たちが、人間が、なにをしたっていうんだ。誰か助けて。誰か助けて。誰か助けて。「大丈夫かなお嬢さん」 流動していた、悪いものを孕んでいた空気が穏やかに止まっていた。時間が止まったのではないというのは、なにかの衝撃によって崩されるように宙を舞って道を開けた障害物の落下でわかる。きっとドゥームが僕に対して無情な一撃を飛ばしてきたのだ、と崩壊していく瓦礫が教えてくれた。もう使われなくなって久しい室内が暴かれて、非現実のような派手な床の色が途端に広がっていた。ここは捨てられた街の中心で行き止まりじゃなかった。「危なかったね、間に合わなかったらどうしようかと……首が落ちなくって良かったね」 不思議と心が落ち着く声をしていた、彼女は。一拍置いて僕は振り向いて声の主を確認した、何故こんなところに人がいるんだと疑問視する目玉は不躾にその彼女を見つめ続けた。女性だ、黒で纏めたレザージャケットのパンツスタイルに、簡易な金属のプロテクターを取り付けたブーツが重たそうで、強い風に浚われそうな彼女の細い体を繋ぎとめている杭だった。特別珍しくもない恰好を途切れ途切れに理解しながら、僕が目を奪われたのは風に揺れる赤い髪だった。 赤い。甘美なる原罪の色だとも思ったし、叡智を与える熱の色だとも思った。経験を得た成熟の女性が引く紅の色でもあったし、年端もいかぬ少女の恥じらいの頬の色にも見えた。そういう美しい赤である。こんなに記憶に刻まれる鮮やかさがあったなんて知らなかった。僕と彼女の世界は半球に切り取られている。「えっ、なに、なんですかこれ」「おっと、少年だったのか。これは失礼」「いや、それは別に、そうじゃなくってあの」「この衝撃閉鎖球は長く持たないから、とりあえず短く説明するけど」 透明な結界が僕らを守ってくれていて、ドゥームは恨めしそうに覆い被さっているが侵入は出来なさそうだ。それを彼女は衝撃閉鎖球……と言ったのか。なんにせよこれだけ近いと、やっぱり怖いんだけど。怖くて、尻餅をついた僕に目線を合わせるように屈んだ彼女にぶつけるように叫ぶ。「どうして! どうしてここに人が、いや貴方は人なんですか?! もしかしてドゥーム、なんじゃ!!」「ドゥームではないな。私は魔法使いだ」 魔法使い? 僕が思い浮かべたのはローブと三角帽を着込んて短いスタッフを持った彼女だった。一般的な魔法使いのイメージって、こうだと思うんだけど。唐突な幻想的な単語に驚いて2回瞬きすると、彼女は笑っていた。笑いながら、いつの間にか嵩張るほどの布を使った優雅な星空色のローブと先端に赤い宝石を付けた細身のスタッフを身に着けていた。一体なにが起こったのか、夢でも見ているのかと辺りを見渡しても相変わらず半球に移動を遮られるドゥームが波打つ景色が広がっていた。彼女以外は非現実的な現実だった。「わかりやすいな君」「わ、笑ってる場合じゃないです!ドゥームがこんな近くに!!」「そうだね、じゃあ私の話を聞いてくれ。私の話についてきて」 女性がスタッフをくるりと振ると、きらきらしたなにかが流れていって、やはり瞬きの内に元の服装に戻っていた。頭部まで包み込んでいた布がなくなって、燃えるように髪が揺らめく。真剣な眼差しは銀の剣のように僕を射抜く。「私は魔法使い。少年が助けてと願ったから、叶えにきた」「少年が殺されたくないと強く願ったから、私はここにいる」「私はどんな願いでも叶えられる。私は願われることに特化した魔法使い」「でも私は一人じゃ魔法が使えない。だから少年の力が必要なんだ」「少年、願って。あのドゥームを打ち払うために」 僕はもう一度、助けてと呟いた。 ぱきん、と弾ける音。結界が壊れたことは上空から確認して知った。先程まで僕たちがいた場所に黒い影が流れ込んでいくけれど、手応えが無いことがわかると流動の向きを大きく変えていくつかの点から突起を伸ばして空を捕まえようとしてきた。それらを躱し、躱し、ふわりと羽が一片落ちていくと光の波動となってドゥームの一部を消し飛ばす。僕は自分を抱きかかえて宙を舞う存在を見て、心臓を緊張させた。蜜のように甘く淡い色合いの金髪が長く風に吹かれて、柔らかく切り揃えられた前髪、天使の翼みたいにぱたぱたとなびくサイドの小さなツインテール。まっすぐ前を見据える瞳は大きく、全ての女性が憧れる綺麗なピンク色だ。肌は人形のように艶やかで柔らかで。フリルとレースをたくさん使ったスカートは飾りのリボンが控えめに揺れていた。華奢な肩と腕を見せてはいたが、大きめのパフスリーブが二の腕を隠していたし、立ち襟のノースリーブのシャツにもひらひらした装飾がついていて優雅だ。そして背中には一対の翼、この女の子は少なくとも僕にとっては世界で一番の女神だった。……もう少し個人的な見解を述べると、僕の大好きな女の子だった。 彼女は僕を、まだ壊れ無さそうなビルの屋上に避難させてくれる。細い腕が離れていくのが名残惜しくてつい手を伸ばすと、そっと握り返してくれた。輝くような笑顔が一抹の不安を拭い去っていく。「心配しないで、大丈夫よ!」 花が咲くような美しい声。なにか返したかったのだけど、名前を言おうとして、この名前では無いと思い直して、それからあの女性の名前も聞いていないことに気が付いて、そもそもこの少女があの女性で……いいのかな? 同一人物なのか? と考えているうちに少女は翼で街を飛んで行ってしまった。街の中心部は立体的な穴が出来たように闇が広がっている。 ドゥームはやはり少女を掴むように動いた。黒い海から柱が突き出して彼女を貫こうとするけれど、少女はそれよりも高く舞い、雲を一つ引き裂いてから下を眺める。唇が異世界の言葉を呟き、ふわりとスカートに空気を含ませながらヒールの先を輝かせた。僅か桃色の光が円状に、いくつもの図形の並びと読み取れない文字の羅列にあるいは意味のある印に、いわゆる魔法陣として広がっていった。彼女を中心として半径3メートルにまで膨らむと、力を込めたように腕を振り下ろす、向かって地面に。衝撃波は鋭く目下のドゥームを消滅させ、どこかのライブハウスの残骸を剥き出しにした。もう立つことも難しそうなステージの上に少女がそっと降り立つ。ばさり、翼が彼女の体躯を上回るほどに大きく伸びていき、周囲に光の羽を散らばせた。降り注ぐ羽の中、彼女は祈りのように手を胸の前で握りしめた。ドゥームに近付かせる隙すら与えず、数えきれないほどの光が闇を焼いていく。弾けるように悪意は数を減らし、もうほとんど撃退出来たのではないかと思われた。その時、少女がこちらを見て目を大きく見開いた。「危ない!」 僕は危機を孕んだ声に思わず後ろを振り向く。少女の華麗な動きに見入っていて、背後にドゥームがいることに気が付かなかった。血の香りを含み湿り気のある暗雲が僕に降りかかろうとしている。こんなときに限って人の目と言うのは瞼を閉じれないものなのだと思ったが、痛みが届く前に視界が暖かな光で遮断された。甘い花の匂いだった、頬をくすぐる柔らかい感触がそれが少女の翼なのだと思わせた。直後、守るように背中から僕を抱きしめる少女。光を隔てた少し向こうで判別を拒みたくなるほどの悲鳴が聞こえた。ドゥームも、こんな泣き声をするのか。ぼんやりとそんなことを思いながら僕の体は再度宙に行き、今度は街の隙間を縫うように低空飛行をする。一瞬だけ追ってくるドゥームを見た。もうビル一つ分の大きさだったが、それでも僕を殺すのには十分だろう。途中出くわした欠片の奴らも少女は躱し続けて、なんだか、わざと集めているのだと、思った。気付けば僕らは狭くて長い路地にいた。「怖がらないでね、私を信じて」 そうはっきりと笑顔で言った少女に、僕は慎重に頷いた。途端に、壁にぶつかり波打ちながら僕らの元へドゥームが流れ込んでくる。全部、全部だ。ここに今全ての影が僕らを食い潰そうとしている、なにかするならきっと今。少女はそっと僕の手を取り、指を緩く絡めあったまま悪意のほうへ伸ばした。手の中の空間に熱が籠り、硬くなっていくのを感じる。それは形を持ち始めて唐突に大きな杖として現れた、まっすぐ金で出来ていて所々に小振りな装飾、先端は優雅な台座に翼の金細工に包まれた丸いピンクの宝石がきらりと光った。ドゥームはあと何メートル、と言うところでその杖は温度を上げて光を集めていく。手を放さなかったのは少女に握ってもらえていたからだと思う。ついに、爆発のような一条の光が路地にひしめいていた全てのドゥームを焼き切った。怨念をそのまま音にしたような断末魔の叫びが聞こえたのは一瞬のことで、眩い光が薄暗い路地に溢れていった。嗚呼、心臓が早く打っている。怖かった、怖かったけどこの傍にいる少女への愛おしさでたまらなく叫んでしまいたい、激動は全て彼女が如何に強く美しかったかで埋め尽くされた。「えへへ。これでもう大丈夫だね、お兄ちゃん」 少女は柔らかく目を細めている。僕は、そこで意識を手放した。 目が覚めると、簡素なベッドの上にいた。天井はボロボロで、高い位置にある窓から見えた空が青かった。頭だけを横に向けるとやはり派手な色の床があった。まだ繁華街のどこかにいるようだ。「君よりも大きいから、お姉さんかと思ったんだけど。あの子妹なんだね」 少し離れた場所にあの女性が座っていた。スツールを壁に寄せてもたれ掛かり、膝を組んでスマートフォンを弄っていた。なにをしていたのかは気になるけど、お姉さんだとか妹だとかの言葉にさっきの魔法少女を思い出した。「そうです、僕の妹。大きくなったら、あんな風に美人になると思っていました」「いました、か」 女性は静かに目を瞑ってなにも言わない。「妹……亜理紗って言います。七歳のときにドゥームに攫われたんです、それで、僕は亜理紗をずっと探してるんです」 亜理紗がいなくなったときのことは、混沌としていた世界を鮮明に覚えている。僕たちは家族で遊園地へやってきていたのだ、仕事で忙しい父親の貴重な休日だったはずだ。そこで、ドゥームに襲われて混乱の中で親とはぐれてしまった。迷いながら観覧車にやってきたところで亜理紗が立ち止まってしまった。観覧車、と言うかそれに擬態していたドゥームがおどろおどろしい姿に変わりながら亜理紗に近付き、ぐるぐると回りながら彼女に手を伸ばす。僕は妹を助けようと手を伸ばしたけれど瓦礫が落ちてきて遮られてしまった。泣きながら亜理紗を呼び続けているうちに向こう側で亜理紗の声がした、「わかった」と一言だけ呟いた。 その後、随分長い間放心していたようで大人たちに腕を引っ張られて我に返った。遊園地は惨劇をありありと残していて、流石に見せてもらえなかったけれど死体がたくさんあったし、精神が壊れた人があちらこちらにいたと言う。僕もその内の一人に数えられた。大人たちは僕の話を半分信じて、半分信じなかった。「私のあの魔法はね、君が奇跡を起こしたいって気持ちも大事なんだけど、そういう気持ちを持たせてる女の子がいることも大事なんだよ」 僕が思い出を再生していると、不意に女性が口を開く。その表情に同情は無く、ただ事実を述べているようだった。それはなによりも頼もしくて信じるに値するものだった。彼女は立ち上がり、僕の傍に座り直した。「おそらく君の妹はまだ助けられる位置にいるんだと思う。彼女が諦めてしまっていたら、君も彼女に助けられたいと思えないから」「……そうなんですか?」「魔法はただの中間地点だから、本当に無事だなんて言わないけど。ただ少なくとも、死んでいても蘇生できる可能性は残ってる、確実にね」「亜理紗は、亜理紗はまだ救える……?」「勿論」 一気に目が熱くなったかと思うと、堪える前にぼろぼろと涙が零れていた。寝そべったままだから、こめかみに涙が流れていく。女性がふっと息を漏らしたのが聞こえて、それからぽんぽんとお腹の辺りを優しく叩いた。亜理紗のことは、皆から諦めろと言われていた、死んでいるに違いないから探すだけ無駄だと。父さんも母さんも叱るようにそう言った。手がかり欲しさにドゥームを追って何度も危険な目にあった。でも、それでも諦められなかった、そんな僕がようやく肯定されたのだ。「信じ続けなさい、少年。妹を助けたいなら強く信じると良い」 僕は子供のようにただ頷いていた。僕の今までは間違っていなかったと他人に言われることが、こんなに落ち着くなんて知らなかった。 帰りは既に夕暮れだった。市内とは言え、夕飯は少し遅くなってしまうだろう。携帯と財布、護身用に十徳ナイフを持ってきていたけど全然役に立たなかったな、などと思いながら持ち物を確認した。そう言えば女性はなにも持っていないと思ったけど、魔法使いだから僕らが考えるような心配事は無用なのかな? ……嗚呼、そういえば。「あの、お名前、教えてください」「名前?」「僕、伏木国光(ふしぎ くにみつ)って言います。あの、また会えたらお礼したいです」「別に気にしないでいいよ、魔法使いってこんなものだし……名前、名前ね」「いや、教えたくないならいいんですけど」「マヤだよ。マヤ・イナージョン」 マヤ、と微笑んだ女性はちょっとだけ頬を赤くして、緩んだ口元が落ち着かない様子で、きりっとしていた眉は困ったようにしていた。肌寒い風に彼女の赤い髪が攫われると、ちょうど溶けて消えてしまいそうな儚さを感じる。そう、彼女もまた守ってあげたくなるような部分があるのだと思った。赤い空気に甘酸っぱさが漂って、まるで恋をしたらこんな感じなんだろうなと思った。それとも、もうしているのだろうか?マヤさんは綺麗だった。「国光、ねぇなんだかまた会えそうな気がしないかな?」 冗談っぽくマヤさんはそう言って僕に目線を合わせてきた。慎重に頷く。会いたいとか、会わなきゃとか、そういう気持ちの問題よりも凄く深い部分で……僕と彼女は、また会うのだと言う確信がどこかにあった。「じゃあまた会おう」